コンタクトセンターにおける品質管理の重要性とその実践方法

2025.06.19
ブログ1. はじめに
コンタクトセンターの応対品質は、お客さまにとって企業の“顔”となる重要な要素です。1回のやり取りが、企業への信頼や印象を大きく左右することも少なくありません。
「どうすれば、よりよい対応ができるだろうか」「現場の品質を安定して保つにはどうしたらいいのか」——そんな思いを抱きながら、日々、品質管理に取り組んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、品質向上に向けた具体的な施策や、現場で効果的に取り組むための工夫を、実践例を交えながらわかりやすくご紹介します。小さな改善が、大きな信頼につながる——そんな品質管理の力を、あらためて感じていただけるきっかけになれば幸いです。
-NEWS-
2025年5月28日(水)・29日(木)に『コールセンター/CRMデモ&コンファレンス2025 in大阪(第18回)』へ出展いたしました。
ご来場いただきました皆様にはお礼申し上げます。
2. なぜ品質管理が重要なのか?

コンタクトセンターは企業の「顔」として顧客と直接つながる窓口であり、その対応品質が顧客満足度や企業イメージに直結するため、品質管理は欠かせません。
ここからは、品質管理が重視される背景について、詳しくご説明します。
顧客満足度(CS)と対応品質の関連性
コンタクトセンターで品質管理が重要な理由は、対応品質が顧客満足度(CS)に直結し、企業のブランドイメージや顧客ロイヤルティに大きな影響を与えるためです。
高品質な応対は顧客の信頼やリピートにつながり、企業価値や競争力の向上にも寄与します。
一方で、品質管理を怠ると顧客離れや企業評価の低下を招くリスクがあります。このため、応対品質の継続的な管理と改善が、顧客満足度向上のために不可欠です。
NPS・口コミ・SNSなど、顧客の声がブランド価値に直結
顧客の声が可視化されやすい昨今、NPSや口コミ、SNSを通じた評価が企業のブランド価値やイメージを左右するため、コンタクトセンターの応対品質がますます重要視されています。
高品質な応対は顧客の満足や信頼を生み出し、リピート利用や紹介につながります。
一方で、対応が不十分だと否定的な評価や拡散を招き、ブランド価値の低下や顧客離れのリスクが高まります。
そのため、品質管理を徹底し、顧客体験を高めることが企業の競争力維持に不可欠です。
応対品質のばらつきがもたらすリスクと損失
応対品質にばらつきがあると、顧客ごとにサービス体験の質が異なり、不満やクレームの発生、顧客離れにつながるリスクが高まります。
また、対応の質が安定しないことで、企業イメージの低下やブランド価値の損失、最終的には売上や収益の減少といった大きな損失を招く可能性があります。
そのため、品質管理を徹底し、応対品質の均一化と継続的な改善が重要です。
品質管理は「クレーム防止策」ではなく「顧客との信頼構築施策」
品質管理は単なるクレーム防止策ではなく、顧客との信頼関係を築くための重要な施策です。
高品質な応対を安定して提供することで、顧客満足度が向上し、企業への信頼やロイヤルティの強化につながります。
品質管理を通じて顧客の期待に応え続けることが、長期的な関係構築やブランド価値の向上に不可欠です。
3. 品質管理における基本項目と評価基準
コンタクトセンターの応対品質を向上させるには、明確な評価基準に基づいた品質管理が不可欠です。以下に、基本のチェック項目と主要な評価指標を整理して紹介します。
- 応対品質の基本チェック項目
- 応対評価の主な指標
- 品質と効率のバランスが重要
1. 応対品質の基本チェック項目
項目 | 内容概要 | 評価ポイント例 |
① 対応マナー | 丁寧で礼儀正しい態度。顧客に安心感を与える。 | 挨拶・トーン・丁寧さ |
② 言葉遣い | 適切な敬語・正しい日本語で、明確な表現を行う。 | 誤解のない表現・敬語の使い方 |
③ 傾聴力 | 顧客の話をしっかり聴き、要望や感情を正確に把握する力。 | 相づち・要約・理解度 |
④ スクリプト遵守 | スクリプトやマニュアルに沿った対応で、品質の均一化とミス防止を図る。 | 手順通りに対応できているか |
2. 応対評価の主な指標
指標名 | 内容 | 主な目的 |
① モニタリングスコア | 通話内容を評価シートで採点し、対応の質を数値化。 | 応対力の可視化と改善点の発見 |
② FCR(初回解決率) | 初回の対応で問題が解決した割合。 | 顧客満足と業務効率の向上 |
③ AHT(平均処理時間) | 1件あたりの対応全体にかかった平均時間。 | 業務効率の最適化 |
④ CSAT(顧客満足度) | アンケートなどによる顧客の満足度の数値化。 | サービス全体の品質評価 |
3. 品質と効率のバランスが重要
数値目標(FCR・AHTなど)だけを重視すると、応対の質が下がる可能性があります。
数値指標と顧客目線の応対の両立こそが、真の品質向上につながります。
4. 品質管理体制の構築方法

品質管理体制を整えるには、役割の明確化、モニタリング体制の構築、情報共有の仕組みなどをバランスよく取り入れることが重要です。以下に主要項目をまとめます。
- 役割分担と連携
- モニタリングとフィードバックの仕組み
- 定期的な評価とKPIの共有
- ナレッジマネジメントの推進
1. 役割分担と連携
担当者 | 主な役割と目的 |
品質管理担当 | ・通話モニタリング・評価基準策定・改善点の抽出と提案 |
SV(スーパーバイザー) | ・オペレーターの指導・育成・フィードバック実施・目標管理 |
→ 両者の連携により、現場の品質と運営を安定化。
2. モニタリングとフィードバックの仕組み
項目 | 内容 |
モニタリング | 録音通話を評価基準に基づいてチェック。第三者評価や品質管理担当が実施。 |
フィードバック | 個別に強み・改善点を伝達。必要に応じて追加研修や指導を実施。 |
→ 継続的な改善サイクルで応対品質を向上。
3. 定期的な評価とKPIの共有
項目 | 内容 |
定期評価 | 応対内容を定期的に評価し、全体の品質状況を可視化。 |
KPI共有 | FCR・AHT・CSATなどの目標・進捗をチーム全体で共有。透明性と一体感を醸成。 |
→ チーム全体が品質向上の意識を持つ文化が定着。
4. ナレッジマネジメントの推進
施策内容 | 目的・効果 |
マニュアル整備 | 現場の知見を整理・文書化し、品質の均一化を図る。 |
情報の一元管理 | FAQ、ナレッジベース、社内チャットで情報を共有・即時活用できる体制に。 |
新人教育の効率化 | 共通の教材・知識でスピーディな育成が可能に。 |
→ 組織全体の対応力と学習効率が向上。
5. 品質改善につながる教育・研修施策
コンタクトセンターの品質向上には、段階に応じた教育施策が不可欠です。以下に、主な研修内容を3段階に分けて紹介します。
- 初期研修:基本スキルとブランド理解の習得
- 継続教育:実践力と改善力の向上
- ナレッジ継承:ベテランのスキルを全体へ展開
1. 初期研修:基本スキルとブランド理解の習得
内容 | 目的・ポイント |
商品知識・業務フロー | 座学で基本知識を習得し、業務全体の流れを理解させる。 |
言葉遣い・マナー | 正しい敬語とブランドトーンの定着を図る。 |
ロールプレイ実践 | 実践研修を通じて現場対応力を強化し、応対の均一化を目指す。 |
2. 継続教育:実践力と改善力の向上
内容 | 目的・ポイント |
応対ロールプレイ | 難易度の高い対応を繰り返し練習し、柔軟な対応力を養う。 |
エラー共有・改善会 | 過去のミスや対応例を分析し、課題認識と再発防止につなげる。 |
3. ナレッジ継承:ベテランのスキルを全体へ展開
内容 | 目的・ポイント |
模範応対の共有 | 高評価者の対応例を参考にし、優れた実践を組織に浸透させる。 |
勉強会・OJTの実施 | ベテランが講師役となり、リアルな現場ノウハウを直接伝授する。 |
この3段階の施策を組み合わせることで、対応品質の底上げと継続的なスキル向上を実現できます。
6. 現場でありがちな課題とその解決方法

コンタクトセンターの品質管理強化には、以下の現場で発生しやすい課題とその対策を理解することが重要です。
- 応対品質のばらつき
- モニタリング基準の不明確さ
- フィードバックが一方通行で機能しない
1. 応対品質のばらつき
項目 | 内容 |
課題 | 担当者ごとにスキルや知識の差があり、応対品質にムラが出る。 |
主な原因 | 研修不足、マニュアルの不備、モチベーション低下。 |
解決策 | ・マニュアルやトークスクリプトの整備と定期更新 ・研修の充実(ロールプレイ・フィードバックを定期実施) |
効果 | 応対品質の標準化と顧客満足度の向上。 |
2. モニタリング基準の不明確さ
項目 | 内容 |
課題 | 評価基準が曖昧で主観的になり、評価や育成が不公平になる。 |
解決策 | ・理想的な応対や評価項目を具体的に文書化(チェックシート作成) ・客観的で一貫した評価を実施 |
効果 | 品質の安定化と業務改善が可能に。 |
3. フィードバックが一方通行で機能しない
項目 | 内容 |
課題 | 改善点が伝わらず、モチベーション低下や離職のリスクがある。 |
解決策 | ・評価項目を可視化し、オペレーターが評価内容を理解しやすくする ・トレーニングを個別化し、強み・弱みに応じた個別指導を行う |
効果 | 双方向のコミュニケーションが活性化し、品質向上に繋がる。 |
この3つの課題を意識した対策で、現場の品質管理を効果的に強化できます。
7. 品質管理を継続的に行うことのメリット
コンタクトセンター現場で品質管理を継続的に行うことには、以下のようなメリットがあります。
- 顧客満足度の向上・LTVの最大化
- オペレーターのスキル向上と定着率改善
- ブランド信頼性の強化
1. 顧客満足度の向上・LTVの最大化
継続的な品質管理で高品質な応対を保つと、顧客はスムーズな対応を実感し、満足度や信頼が高まります。これがリピート利用を促し、LTV(顧客生涯価値)の向上につながります。
2. オペレーターのスキル向上と定着率改善
定期的なモニタリングとフィードバックでスキル課題を明確にし、効果的な教育やコーチングを実施。成長実感や働きやすさがモチベーションを高め、離職率低下・人材定着に貢献します。
3. ブランド信頼性の強化
高品質な応対の継続で「信頼できる」「顧客を大切にする」イメージが広がり、ブランド価値が向上。口コミやSNSでの評判向上による新規顧客獲得や競合との差別化に役立ちます。
8. M -Talkを活用した品質管理の効率化
M-Talkは、コンタクトセンターの業務に特化したハイブリッド型チャットシステムです。現場の皆さまが日々の応対品質を高めつつ、効率的に業務を進められるよう、豊富な機能を備えています。
たとえば、オペレーターのスキルや稼働状況に応じてチャットを自動で配分したり、応対内容を自動でテキスト化したりと、品質管理に欠かせない機能をしっかりサポート。リアルタイムのモニタリングや詳細なレポート出力も可能です。
また、LINEや自社アプリ、AIチャットボットと連携することで、お客様への対応の幅が広がると同時に、オペレーターの負担軽減と応対品質の均一化が実現します。マルチテナント対応やナレッジ共有機能もあるため、複数の業務を抱えるセンターでも柔軟に運用いただけます。
さらに、応対ログや統計データを活用したVOC分析や改善提案もスムーズに行え、無理なく日々のPDCAサイクルを回せるのも特徴です。導入企業からは、継続利用率82.9%という高い満足度をいただいております。
9. まとめ
コンタクトセンターにおける品質管理は、特定の担当者だけが担うものではありません。チーム全体で支え合いながら取り組むことが、何よりも大切です。
一人の力ではなく、現場全体で「良い対応とは何か」を意識し合うことで、自然とお客さまに選ばれるサービスへとつながっていきます。
そのためには、日々の業務の中で無理なく品質改善に取り組める仕組みづくりが欠かせません。その一助となるのが、ツールの力です。
M-Talk は、リアルタイムモニタリングやナレッジ管理、レポート機能などを通じて、オペレーターの応対状況を「見える化」。応対のばらつきを抑え、現場の品質向上を支える心強いパートナーです。
また、私たちはM-Talkの提供だけでなく、導入前のご相談から、運用設計、現場に寄り添ったカスタマイズまで、柔軟にサポートいたします。
「もっと良い応対をめざしたい」「現場の負担を減らしながら品質を高めたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
コンタクトセンターに最も適したチャット/ボットシステムM-Talk
