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【ファウンダー日記】テレマーケティングとは !?~「テレ」か「マーケティング」か~

2015.08.06

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最近の報道で総務省の次官にS井氏が就任(発令は7月31日付)と知って、昔のことを思いだした。当時は郵政省だった。
もう20年近く前になるが、1996年のある日、勤め先の電話が鳴り郵政省の業務課長からの電話とのこと。エエッと思ったが、直ぐに電話の理由が分かった。私が関係している業界団体の件でだ。
当時、私は「日本テレマーケティング協会(JTA)」の理事で、協会の社団法人設立準備委員会のメンバーも兼任していたので、一種の票固めの電話であったろうか。

88年にテレマーケティング大手5社の協定で結成された任意団体「日本テレマーケティング協会」は、テレマーケティング業界の発展と共にその”会勢”も順調に拡大し、社会的認知度も高まってきた。そこで、何時までも任意団体のままではということで、92‐3年頃から社団法人化を模索し始めていた。
社法となると関係省庁の認可団体になるので、役所の縄張り意識を刺激したようだ。

[今となっては懐かしい1994年当時の顏ぶれ] 96年は丁度、通産省制定の「訪問販売法」(今の特定商取引法)が、その対象とする取引類型に”電話勧誘販売” を追加した年だった。となると必然的に社法化の主目的として「訪問販売法の遵守により社会に貢献する」ことを標榜するのが常套であり、法人化の準備を急ピッチで進めていた。

そこで件の電話となるのだが、要は「法人化にあたって旗幟を鮮明にせよ、まさか○○省ではないでしょうな。郵政としては場合によっては別の協会を立ち上げるので、その時は…」という趣旨であった。いきなりの電話で旗幟鮮明もあったものではない。
そその時咄嗟に説明したのが、表題のテレマーケティングという言葉である。
「テレ」は遠隔で通信できる機能のことで、「マーケティング」は企業のビジネス行為そのものを意味していると。つまり、郵政省側は手段であり、○○省側が目的となり、マーケティング ⇒”売買契約又は役務提供契約”(訪問販売法)が協会活動の目指すところであることを暗に説明させていただいた。

[一度きりの発起人会ではあったが、日本を代表する企業のTOPの方々に発起人になっていただいた。] S井氏からは、その後は音沙汰がなかったが、蓋を開けてみると○○省と郵政省の共管ということで丸く収められていた。一時はどうなるのかと気を揉んでいたが、その手があったかと妙に納得させられた記憶がある。

そんなことがあって97年から社団法人化したわけだが、2012年には公益法人制度の改革により、一般社団法人として再スタートした。同時に名称も「一般社団法人 日本コールセンター協会(CCAJ:Call Center Association of Japan)」と改称し今日に至っている。

一般社団法人としてのネーミングでも侃々諤々の議論があった。
テレマーケティングはテレセールスのイメージが強く、今日の業界を表すのには必ずしも相応しくないのでどうするか、ということだった。
アウトソーシング、BPO等々いろんなアイデアがでたが、最終的にはコールセンター、コンタクトセンターの2つが名称候補として残った。
法人名の決定においては、「公益法人として社会に開かれた活動をするのか、業界に向けた内輪の活動をするのか」が重要なポイントだ、という提起をしたことを思い出す。結果的に前者の方向だと意見がまとまり、一般の方々に分かりやすい”コールセンター”を名称とすることになった。
業界向けとしてはマルチメディア化された”コンタクトセンター”という言葉が最新の業態を表しているのだが、一般の方々のイメージは、コンタクト? めがね屋さん?となることや、ハローワークの職業分類でもコンタクトセンターというのは無く、「コールセンターオペレータ」(厚生労働省編職業分類)となっていることが決め手となった。

ところで、冒頭のS井氏は人気歌手でタレントのS井 翔さんの父親と報道されている。私からしたら、S井 翔さんが事務次官S井氏の息子と表現するのが正しいと思うのだが、これも一般の方の認知度が高い息子さん主体の表現になるのは仕方ないことか…。
報道によると、「S井 翔さんが、新事務次官の息子であります」と高市早苗総務相が人事を正式発表した日の記者会見で、こう述べている。(つまり、翔さんの父という表現を否定) 高市総務相は一連の報道について「S井 翔さんの『父』と小見出しがあり、ちょっと気の毒に思いました」とも言及している。

それにしても、次官にまで登り詰めるような人は理屈だけでなく行動力も凄いものだ、超多忙な業務課長時代にテレマーケティングのようなニッチな業界を相手にしている暇はなかったはずだが、一介の担当の私にまで接触してきている。
電波・通信事業の企画・調整・立案だけでなくあらゆる分野に目を配り”省勢”の拡大に励んでこられたんだなと驚いてしまう。

80年代からの国際通信、通信衛星、衛星放送など郵政の認可事業には総合商社が深く関与していた。商社の末端組織に勤めていた私にまで影響力を及ぼされた同氏には、これからも”世のため 人のため 国のため 道のため”、ミスター総務省としてますますの指導力を発揮されることを願っています。
(以上、いろいろと失礼なことを申し上げましたこと、お許しください、S井様。)

あのころを振り返るために過去の資料を手繰っていたら懐かしい資料が見つかった。
蛇足ながら3点紹介したい。

その1:すっかり忘れていたのだが、今から考えてもマトモな理屈を言っていた。
“CTIは企業にも個人にも大きな変化を与える”とのことで、
「これまでの電話は、場所から場所へのPlace to Placeが基本でした。ところが、Eメールや携帯端末の浸透により、個から個へのPerson to Personへと変化しつつあります。 …云々… 」
(当時のJTAニュースより)

その2:法人化に先立つ94年には、日本テレマーケティング協会の21世紀ビジョンを策定した。
その中で、テレマーケティングの定義付けをしたので紹介する。

「テレマーケティングとは、顧客の創造、顧客満足の向上、顧客の保持といったマーケティング・プロセスを、パーソナルで双方向性を持つ通信メディアを通じて、円滑かつ効果的に実現する方法である。」…・当時のベルシステム24やNTTテレマーケティングのトップの方々を交えた1年余りの作業であった。

その3:まだまだテレマーケティングのシステム化が一般的ではなかった頃に、啓蒙活動を兼ねたセミナーも含め、多くの広告宣伝活動をしていた。その中でも気に入っていたものの一つが右の広告である。システム的には、コールブレンディングやプレディクティブダイヤリングの効用を説き、データベースマーケティングの必要性と効果的な顧客対応を訴えていた。

以上3点は20年前の資料だが、今見てもそんなに違和感を覚えない。基本的なことはそう変わるものではないからだろうか。