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【ファウンダー日記】床屋談義で学ぶCRM

2014.11.28

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今はもう死語かもしれないが、おっとどっこい床屋談義はそう簡単には無くならないね。

昔なら何人かの客同士がヒマに飽かして政治談議などを楽しんでいたのだろうが、今は時間を予約して来る客が殆どなので客同士で会話する機会が無いし、昔と違って近隣の知り合いが憩う場所ではなくなっている。

それでも、聞き上手のマスター(私の馴染みの床屋では主人をこう呼んでいる)との会話越しに、隣に座った客とたまに言葉を交わすことがある。
ただ、お互いの氏素性が不詳なので当り障りない談義に終始。主義主張や政治を論議することなどは難しいが、お金に絡む話は皆の共通の話題らしくいろいろな失敗談や文句話を聞くことができる。

私は自分の商売柄、B2C取引の顛末を聞くのを楽しんでいる。
メモを取っているわけではないので、何となく憶えている話を紹介したい。

 

一番衝撃的だったのは、キャンセルできないパッケージ旅行の話、それも歴とした旅行代理店でのことだ。

この夏、夫婦で楽しみにしている年に一度の旅行。駅前の店舗で旅行プランを相談し注文したのだが、出発の前日になり体調が悪くなった。この調子では旅行に参加しても周りに迷惑をかけるし自分たちも楽しめないとのことで、急遽キャンセルしようとした。
ところがその日は土曜日でお店は閉まっている。取敢えず手元にあった電話番号に連絡してみたが、その番号は予約センターにつながり予約のことしか受け付けない。店とは組織が異なるので店頭販売の旅行のことは全く分からないとのことだった。

途中まで聞きながら、
「これだ、これ…今の我々の最大の課題…オムニチャネル化は ! 」と何故か私が反省モード(マコトニ スミマセン! )に。

結局 埒が明かないので、宿泊先などに迷惑を掛けないようにと、自分たちで旅程表を頼りに各旅館に電話したそうだ。(代理店業務の代理行為…厳密に言えば旅行業法違反 ! ?)

【この写真は、本稿とは関係ありませんす】

(四角~い仁鶴が)…こんな時 法律はどないなってますか?

店を構えている商売は良いが、店の無い訪問販売ビジネスには問題点が多く消費者を保護しなければならないとのことで、訪問販売法(今の特定商取引法)が制定された。
通信販売が盛んになればそれにも適用され、電話勧誘販売が普及してくれば同様に対象となった。

因みに現在、何が特定商取引かというと、「訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入」の7つがそれにあたる。
法律の専門家ではないので断言できないが、客が自分の意志で店に出向き購買行為をする店頭販売での取り決めは何もない。よって、こんな出口のない取引になっても泣き寝入りしかないのが現状だ。
そう言えば、予約センターはあっても解約センターというのはあまり聞かない。

(また仁鶴が)…ところで、旅行業法の方はどうなってまっか?

国交省の標準旅行業約款はこうなってます。
第三章 契約の変更および解除
(旅行者による任意解除)
第13条
1. 旅行者は、いつでも手配旅行契約の全部又は一部を解除することができます。

…何とこう書いてあるではないか。(キャンセル料金は発生するとしても)
このケースでは、シャッターを下ろして解除できる手段を断った売り手側にかなりの責任があるように思えるが、如何であろうか?

いわゆるJATAのWebサイトを見ると、「消費者相談室の苦情解決業務」が見つかるが、「当協会では、旅行会社との取引に関するお客様からの苦情解決のお手伝いをしております。」とのこと。アドバイスと旅行会社への仲介はするが、解決をするものではないとも言っている。

思わぬ盲点、出口のないB2C取引の実態が発見できた。
ということで、千円札4枚で頭をキレイにしてもらい実学までできるのは、床屋談義冥利に尽きる。これはMBAでの立派な課題にもなるのでは…?

床屋大学での実学はこの他いろいろあるが、2時限目以降に譲ることにしたい。