【ファウンダー日記】皮と革 -年度替わりにあたって-
2014.03.26
ブログやっと暖かくなった。
春だ!
新年度だ!
新世界に乗り出すために、大人も子供も一斉に”脱皮”するシーズンになった。
脱皮し、改め、革める。
緊張感が漂う季節でもある。
そんな気分もあって、脱皮の”皮”と革新の”革”…同じカワだが、あらためて参考書を引いてみた。
漢字解説で定評のある白川静博士の説ではこうなっている。
なるほど。
“皮”にまつわる言葉は総じて自然界の事柄やそこから生じる言葉(一皮剥ける、皮切り 等)であり、”革”に関しては人がその意思でもってあらたまること(変革、改革、革新、革命 等)のようである。
社会人にとっては、新しい環境に適応し、新しく策定した目標に到達するためにどのように自らを革め、組織と運営を改めていくかが試される緊張の時期が年度替わりであろう。
成長のためには、持続的な変化が不可欠。
ところで、いざ鎌倉という時代なら革から連想するのは、鞍(クラ)や鞭(ムチ)等の武具かもしれないが、現代のサラリーマンにとっての武具は、さしずめ鞄(カバン)や靴(クツ)だろう。
勤め先の近くに日本で一番古いのではないかと言われているカバン屋さんがある。その前を通るたびに「欲しい!」と思わせる素適な武具が並んでいる。よく観ていると2週間位で商品を入れ替えしているようだ。その店は「銀座タニザワ」という明治7年創業の老舗。
同社のWeb siteによると、初代の谷澤『禎三が考案したといわれる「鞄(かばん)」の文字を看板に掲げたところ、これが銀座をお通りになった明治天皇のお目にとまり、侍従職を通し「何と読むか?」との御質問を受ける。これをきっかけに「鞄」の字が全国に広まったと伝えられている。』とのことで、明治の中頃には辞書に載ったとされる新語であった。鞄という現代語の始まりがこの店にあったとは驚きである。
面白くなって語源をいろいろ調べてみると、カバンは中国語(あるいはオランダ語)の発音に由来するようだが、漢字の「鞄(ほう)」は元々なめし皮の意味だったらしい。しかし、革で包むというカバンの文字は今となっては実にピッタリした当て字だったと120年前の先人のアイデアを称えたい。
良いデザインの革の鞄、これは年度替わりにかかわらず、何時でも、幾つでも欲しい憧れのアイテムの代表だ。
春だ!
新年度だ!
気に入った鞄を携えて脱皮したいものだ。