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録音データの保存期間中の管理方法

近年、ビジネス環境の変化に伴い、コールセンターは企業において顧客との重要なコミュニケーションハブとして不可欠な存在となっています。お客様との円滑な対話や問題解決において、録音データは貴重な資源であり、その適切な管理が業務の効率性や法的コンプライアンスに直結します。本コラムでは、コールセンターでの録音データの保存期間中の管理方法に焦点を当て、企業がこれらのデータを適切かつ効果的に活用するためのベストプラクティスについて探ってみましょう。

企業事例から学ぶ録音保存期間

コールセンターでは、顧客との通話を録音することが一般的です。録音する目的は、通話品質の向上、コンプライアンスの確保、トラブルの防止などです。録音したデータは、一定期間保存されますが、その期間は企業や業界によって異なります。保存期間を決める際には、法令やガイドラインの遵守、データの活用方法、コストや容量などの要素を考慮する必要があります。
録音保存期間の企業事例を見てみましょう。

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長期保存を選ぶ企業の理由

電話での注文受付を行うコールセンターでは、録音データを退避させてずっと保存しているという例があります。これは、顧客との契約内容を証明するためや、トラブルが発生した場合に証拠とするためです。

クラウドPBXを利用するコールセンターでは、録音データをクラウド上に保存することで、長期間の保存が可能になります。これは、録音データを分析や文字起こしに活用するためや、コール品質の改善に役立てるためです。

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短期保存を選ぶ企業の理由

ヘルプデスクやECサイトなどのコールセンターでは、録音データを3ヶ月から6ヶ月ほど保存しておけば十分という例があります。これは、録音データの活用頻度が低いためや、コストや容量の削減のためです。

PBXと非連動するシステムを利用するコールセンターでは、録音データの保存期間や容量が限られていることが多いです。これは、システムの仕組みや性能の制約のためです。

録音データの管理方法

コールセンターでは、顧客との通話を録音することが多くあります。録音データは、カスタマーサービスの品質向上やトラブル対応、法的な証拠などに役立ちますが、同時に個人情報の漏洩や不正利用などのリスクも伴います。そのため、録音データの管理には細心の注意が必要です。ここでは、録音データの管理方法について、以下の見出しに沿って説明します。

データの保管状況のチェックリスト

録音データの保管状況を確認するためには、以下のようなチェックリストを作成し、定期的に点検することが推奨されます。

  • 録音データは、暗号化やパスワード保護などのセキュリティ対策を施した専用のサーバーに保存されているか?
  • 録音データにアクセスできるのは、必要最小限の権限を持った者だけか?
  • 録音データのバックアップは、定期的に行われているか?
  • 録音データの保管期間は、法令や契約に基づいて設定されているか?
  • 録音データの削除は、安全に行われているか?

データの保存、削除のスケジュール作成

録音データの保存期間は、法令や契約に基づいて決める必要があります。例えば、消費者契約法では、契約内容を記録したものは、契約終了後3年間保存することが義務付けられています。また、個人情報保護法では、個人情報を含む録音データは、利用目的が達成されたら速やかに削除することが求められています。このように、録音データの保存期間は、法令や契約に応じて異なりますので、事前に確認しておくことが重要です。

録音データの削除についても、スケジュールを作成し、実行することが必要です。削除する際には、データの復元ができないように、物理的に破壊するか、専用のソフトウェアを使って完全に消去することが望ましいです。

カスタマーサービスと法務チーム間の連携

録音データは、カスタマーサービスの品質管理やトレーニングに活用できますが、同時に法的な証拠としても重要な役割を果たします。例えば、顧客との契約内容や約束事、クレームや苦情などのトラブルに関する通話は、後に紛争が発生した場合に、録音データを証拠として提出することができます。そのため、カスタマーサービスと法務チーム間の連携は、録音データの管理において欠かせません。

カスタマーサービスと法務チーム間の連携を円滑にするためには、以下のようなことが必要です。

  • 録音データの管理に関するルールや手順を明確に定め、共有すること。
  • 録音データの利用目的や範囲を明確にし、必要に応じて顧客の同意を得ること。
  • 録音データの保管期間や削除方法を法令や契約に従って設定し、遵守すること。
  • 録音データに関する問い合わせや要求に対して、迅速かつ適切に対応すること。

個人情報の取扱いについて

録音データには、顧客の氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報が含まれる場合があります。個人情報は、個人情報保護法やその他の関連法令に基づいて、適切に取り扱う必要があります。個人情報の取扱いについては、以下のようなことに注意する必要があります。

  • 録音データの利用目的を明確にし、顧客に通知すること。必要に応じて、顧客の同意を得ること。
  • データにアクセスできるのは、必要最小限の者に限定すること。アクセス権限を管理し、監査ログを残すこと。
  • データを第三者に提供する場合は、顧客の同意を得ること。提供先にも適切な個人情報保護の措置をとるように求めること。
  • データを海外に転送する場合は、顧客の同意を得ること。転送先の国や地域の個人情報保護の水準に応じて、必要な措置をとること。
  • データの保管期間を設定し、利用目的が達成されたら速やかに削除すること。

音声データの保存方法

録音データの保存方法には、主に以下の2種類があります。

デジタル方式

録音データをデジタル信号に変換し、コンピュータやサーバーに保存する方法です。デジタル方式の利点は、データの品質が劣化しないこと、データの検索や再生が容易なこと、データの圧縮や暗号化が可能なことなどです。デジタル方式の欠点は、データの保存に大容量の記憶装置が必要なこと、データの漏洩や改ざんのリスクが高いことなどです。

アナログ方式

録音データをアナログ信号に変換し、テープやカセットなどに保存する方法です。アナログ方式の利点は、データの保存に低コストの記憶装置が必要なこと、データの漏洩や改ざんのリスクが低いことなどです。アナログ方式の欠点は、データの品質が劣化することです。

品質管理とデータの使用

コールセンターでは、顧客との通話やチャットを録音することが一般的です。この録音は、コールセンターの業務効率や品質向上に大きく貢献しています。では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

  • 顧客満足度向上:録音された通話を、オペレーター本人やスーパーバイザー(SV)、教育担当者が後日聞き直すことで、顧客のニーズをより深く理解し、より良い対応を実現することができます。また、録音を顧客に提供することで、顧客の安心感や信頼感を高めることができます。
     
  • オペレーターのスキルアップ:録音された通話を分析することで、スキルアップのための課題を明確にし、改善策を講じることができます。また、優秀なオペレーターの対応を共有することで、全オペレーターのスキルアップを図ることができます。
     
  • トラブル防止:録音された通話は、顧客とのトラブルの証拠として活用することができます。顧客とのトラブルが発生した場合、録音を参照することで、事実関係を正確に把握し、適切な対応を迅速に行うことができます。
     

録音されたデータは、コールセンターの品質管理に欠かせないものです。しかし、録音しただけでは十分ではありません。録音したデータを効果的に活用するためには、適切なデータ管理が必要です。次の見出しでは、データ管理ソフトウェアの比較について紹介します。

各種データ管理ソフトウェアの比較

録音したデータを管理するためには、通話録音の機能を持ったツールやシステムを利用します。通話録音には、PBX(音声システム)と連動するシステムと、非連動のシステムがあります。それぞれの特徴は以下です。

■ PBXと非連動するシステム

ヘッドセットとPBXとの間に接続され、通話内容を録音するタイプを指します。こちらは音声システムと連動していないため、内容確認など運用時に手間が発生しやすいです。

PBXと連動するシステム

通話が始まったと同時に録音が開始されるタイプを指します。他システムと連携しているため、内容確認時に時間やオペレーターの電話機ログインIDなどで検索が可能となっています。

これらはコンタクトセンターの規模、内容確認の頻度、他システムとの連携などにより最適な製品の選定が必要です。また、直近のクラウドPBXでは、音声システムと録音がセットになっているシステムも存在しています。

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データ管理ソフトウェアの選び方には、以下のポイントがあります。

  • 自社に必要な機能が備わっているか:録音の開始・停止、録音の保存・削除、録音の検索・再生、録音のエクスポート・インポートなどの基本的な機能はもちろん、録音の分析・評価、録音の感情解析、録音の暗号化・復号化などの高度な機能が必要かどうかを検討します。
     
  • 他のシステムやツールと連携できるか:CRMやCTIなどの他のシステムやツールと連携できるかどうかを確認します。連携できれば、顧客情報や通話履歴などのデータを一元管理でき、業務効率や品質向上につながります。

データ管理ソフトウェアは、録音したデータを活用するための重要なツールです。自社のニーズに合った製品を選ぶことで、コールセンターの運営を改善することができます。最後の見出しでは、組織別録音データの管理手法について紹介します。

組織別録音データの管理手法

録音データの管理には、組織の規模や目的に応じた手法が必要です。ここでは、大規模な組織と中小規模な組織の場合における録音データの管理手法について、それぞれのメリットとデメリットを挙げてみます。

大規模な組織の場合

録音データの管理には、専門の部署や担当者を設けることが望ましいです。録音データの保存・削除、検索・再生、分析・評価などの業務を一元的に行うことで、データの品質やセキュリティを高めることができます。また、録音データを活用して、オペレーターの教育や指導、顧客満足度の向上などの施策を実施することもできます。ただし、専門の部署や担当者を設けることには、コストや人員の確保などの課題もあります。

■ 中小規模な組織の場合

録音データの管理には、外部のサービスやツールを利用することがおすすめです。録音データの保存・削除、検索・再生、分析・評価などの業務を外部に委託することで、コストや人員の負担を軽減することができます。また、外部のサービスやツールは、最新の技術やノウハウを持っていることが多いので、データの品質やセキュリティも高いレベルで保たれます。ただし、外部のサービスやツールを利用することには、データの所有権やプライバシーなどの問題もあります。

データ保護とプライバシーの重要性

コールセンターでの通話録音は、顧客とのコミュニケーションを効果的に管理し、サービスの向上に寄与します。しかし、これらの録音データは慎重に取り扱わなければなりません。個人情報や機密情報の含まれるデータを適切に保護することが求められます。

プライバシー法の遵守

コールセンターは、国や地域のプライバシー法に従う必要があります。個人情報の収集、保存、利用に関する法令やガイドラインを厳守し、企業の信頼性を維持しながら事業を展開することが求められます。

データ漏洩防止の手段

データ漏洩は重大な問題であり、コールセンターは適切な対策を講じる必要があります。セキュアなデータストレージ、アクセス制御の強化、定期的なセキュリティアップデートなど、様々な手段を駆使してデータ漏洩のリスクを最小限に抑えることが重要です。

法律遵守のための注意点

コールセンターは地域や国における法令を遵守することが求められます。通話録音の合法的な要件や保管期間、取得と同意の手続きなど、適切な法的なプロトコルを確立し、従業員を適切にトレーニングすることが必須です。

顧客のプライバシー保護について

コールセンターは顧客のプライバシーを尊重し、信頼を築くことが求められます。通話前にプライバシーポリシーの説明、任意の録音拒否オプションの提供、個人情報の適切な取り扱いなど、顧客に対する透明性と選択肢を提供することが大切です。

データ保護とプライバシーの確保は、コールセンターが長期的な成功を収め、信頼性を確立するために不可欠な要素となります。徹底的な法令遵守と積極的なセキュリティ対策を通じて、顧客との信頼関係を築くことが不可欠です。

まとめ

コールセンターの録音は、顧客とのコミュニケーションの質を向上させるだけでなく、ビジネスの成長にも貢献することができます。しかし、そのためには、録音データの適切な管理が必要です。