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わずか1クリックでつながる 新しい広告のかたち

最近、家族や友人間で交換されるメッセージングだけでなく、企業とのやり取りにもメッセージングを使う人が増えてきました。

Business Insider のデータによれば、2015年の時点で既に、4大メッセージングアプリケーションの利用率が、4大ソーシャルメディアの利用率を超えています。

2015年6月にリリースされた調査結果では、モバイルユーザーの85% のモバイル利用時間は、メッセージングとソーシャルメディアに使われていると報告されています。

今多くの企業は、このユーザーベースを利用して、どのようにマネタイズできるかを模索しています。

メッセージングアプリケ―ションのリーダー Facebook Messenger が、 2016年 4月に ボット用のプラットフォームを開発し、オープンソースをリリースしたことにより、チャットボットを利用した様々なビジネスチャンスが生まれました。

これにより、カスタマーサポートの提供、商品やサービスの紹介、販売の一部、もしくはそのすべてをチャットボットに担当させる企業が増えてきました。

米国のリサーチ会社 Gartner は、2020年までに、85% の接客は人間以外によって行われるだろうと報告しています。

今回は、現在、米国、カナダ、オーストラリアで最も高いシェアを誇る Facebook Messenger が提供している 2タイプのチャットボット広告についてご紹介したいと思います。

スポンサーメッセージ広告

まずひとつ目は、Facebook スポンサーメッセージ広告です。

このタイプの広告は、直接ユーザーのインボックスに配信されるため、ユーザーが広告に目を通すチャンスが上がります。

但し、スポンサーメッセージ広告を送信できる相手は、過去に企業への問合せを行ったことのある顧客のみとなっています。

企業はスポンサーメッセージ広告を使って、新商品やサービスについての案内メッセージを送ったり、セール情報やプロモーションコードなどを送って販売促進に役立てることができます。

顧客側は、メッセンジャー内で受信したメッセージから返信すれば、チャットボットがすぐに応答してくれるので、広告を見て電話する、もしくはメールするといった従来のステップ – チャンネルの変更 – を必要としません。

まるで友人にメッセージングするように、レストランにメッセージを送ってデリバリーを注文できるのです。

米国の大手ピザチェーンで知られる Domino Pizza や Pizza Hut などは、既にメッセンジャー上でチャットボットを利用して注文を受け付けています。

これらの企業が、スポンサーメッセージ広告を利用して、既存の顧客に新メニューやクーポンを配信すれば、効果的なマーケティング戦略になるでしょう。

デスティネーションメッセンジャー広告

もう一方は、デスティネーションメッセンジャー広告と呼ばれるタイプで、Facebook のニュースフィードに表示される広告を、ユーザーがクリックすることで、デスティネーションである Messenger のアプリケーションが開き、チャットボットとのインターアクションへ誘導されます。

開いたスレッドには、企業側からリアルタイムで “こんにちは!なにかお探しのものはありますか?” などのメッセージが届くでしょう。

これは従来のオンライン広告と比較するととても画期的なアプローチです。

これまでは、広告をクリックしてランディングするのは、広告商品やサービスの販売ページでした。

しかしデスティネーションメッセンジャー広告の場合、クリックしてランディングするのは、メッセンジャーのスレッドです。

つまり、商品やサービスに興味を持ったユーザーが、広告をクリックして即時に企業側とダイレクトに会話をすることができるのです。

顧客に喜んでもらえるようなパーソナルで心のこもった会話は、企業イメージをアップさせ、優れた営業トークをプログラムしておけば、ファーストコンタクトで売り上げにつながるもしれません。

またこのタイプの広告は多様性があり、様々なプロモーションセールスなどに適用できるところも魅力のひとつです。 比較的価格設定が高めで、購入前に何度か問合せが必要なタイプの商品やサービスに最も適しているでしょう。

例えば、不動産会社が物件を広告したり、車の販売などにも良いでしょう。

アイデア次第で、ユニークなマーケティングを展開していくことが可能です。

リーディングカンパニーのチャットボット利用例

米国の大手銀行 Wells Fargo は、2017年4月にFacebook メッセンジャー上でチャットボットを利用して、顧客にファイナンシャル情報やパスワードの再設定などを提供するサービスのパイロットテストを開始しました。

こちらのサービスのチャットボットでの応対が可能となれば、コールセンターの縮小が可能となり、設備投資や人件費を削減できるでしょう。

米国の大手ホテルチェーン Hyatt でも、顧客サポートの新しいチャンネルとしてチャットボットを開設しました。

予約時から滞在中、そして滞在後までの問合せに24時間いつでも対応できるので、ホテル業界では重宝されるでしょう。

さらに、航空会社では、ルフトハンザ航空が、Mildred というチャットボットをリリースし、ボットでの顧客サポートを導入しました。

この結果、顧客は、9か月先までの、格安チケットを検索することができます。

これらの企業は、既にインターアクションがあった顧客グループには、前出のスポンサーメッセージ広告を利用して、新サービスやセール情報などを送信し、フォローアップすることが出来ます。

また、デスティネーションメッセンジャー広告を利用すれば、新規顧客も開拓できるでしょう。

広告からわずか1クリックでダイレクトに企業に繋がることができるのは、利便性を重要視している現在の消費者にぴったりです。

最後に

今後、チャットボットに対応している企業が増えれば、これまでメッセージングのプラットフォームを利用していなかった顧客層までが、メッセージングを利用するようになるでしょう。

そして、Facebook Messenger では、益々増え続けるユーザーベースをターゲットにした、さらなるマーケティングが展開されていくでしょう。

[参考メディア] Facebook US

[参考サイト]

 
http://fortune.com/2017/04/18/wells-fargo-chatbot-facebook-messenger/
http://www.businessinsider.com/the-messaging-app-report-2015-11