世界初! Woebot AIセラピスト誕生 – 24/7受けられるカウンセリング
2017.11.16
トレンド情報ファイナンシャルプランナーとしてお金のアドバイスをしてくれるボット、料理のレシピを検索してくれるボット、ホテルやエアチケットを予約してくれるボットなど、既に多くのチャットボットがさまざまな分野で活躍している中、ついに心理カウンセリングを行うセラピストのチャットボットまで登場しました。
2017年6月、スタンフォード大学の 臨床心理学者 Alison Darcy が率いるチームは、世界初となるメンタルヘルスセラピストのチャットボット『Woebot』をリリースしました。
Woebotは、認知行動療法(CBT) に基づき開発されており、臨床的に証明されたAIセラピストとして、現在多くのユーザーに利用されています。
CBT – 認知行動療法とは?
認知行動療法- CBT (Cognitive Behavioral Therapy) は、思考、行動、そして感情の関係に焦点が置かれたセラピーで、科学的に証明されたメンタルヘルスへのアプローチです。
同療法は、もともと摂食障害に使われていたメソッドですが、現在はうつ病や不安症をはじめ、パニック障害、薬物依存症などさまざまな心理的疾患に導入されています。
Woebot はAIを搭載しているので、人間のセラピスト以上の能力を持ち合わせているかもしれません。
同アプリでカウンセリングを受けると「今何をしているのか」、「今の気分はどうか」、そして「今のエネルギーレベル」について質問されます。
定期的なカウンセリングでは同じ質問が繰り返され、長期間で感情がどのように推移していくかが記録されます。
Woebot は、人間のセラピストが見過ごしてしまうかもしれないパターンを発見する分析力と、AIならではの記憶力が最大限に活かされています。
Woebot 6つの特徴とは
気分の定期チェック
Woebot は、毎日ユーザーと対話することで、ユーザーの感情をグラフ化し、変化を測定してくれます。
このグラフを見れば、感情の波を確認できます。
パターンの分析
また、Woebot は自分たちでは気付けない感情のパターンを見つけてくれます。
自分の気分がどのようなときにダウンして、どのようなときにアップするのかを知るきっかけになります。
テクニックを教えてくれる
認知行動療法に関する研究資料をもとに、さまざまなテクニックを教えてくれます。
Woebot のカウンセリングと、これらのテクニックを併用すればさらなる効果があるかもしれません。
証明された臨床事例
Woebotの創設者で臨床心理学者 Alison Darcy は、実際にうつ病や不安症をかかえている学生たちに、同アプリを使ってトライアルテストを実施しました。
テストは、うつ病や不安症の症状のある学生70人を二つのグループに分けて行いました。
まず最初のグループには、Woebotでカウンセリングを提供し、もう1つのグループには、メンタルヘルスに関するセルフヘルプの電子書籍を読ませました。
結果は驚異的で、Woebot がカウンセリングを行ったグループは、2週間後に症状の改善を報告しました。
24/7 いつでもどこでも 24/7カウンセリング
従来セラピストに会うには、予約を入れて決められた時間にカウンセリングを受けに行きます。
一方で、Woebot は、24時間週7日いつでもカウンセリング可能です。
突然不安に襲われたとき、誰かに話を聞いてもらいたいとき、Woebotならいつでもスタンバイしています。
精神疾患がある患者にとって、セラピストに24/7いつでもコンタクトできるのは心強いことでしょう。
カウンセリングを重ねるごとに理解が深まる
学習能力があるので、ユーザーとチャットすればするほど、ユーザーへの理解が深まります。
理解が深まれば深まるほど、カウンセリングの質や精度も高くなるでしょう。
今後の課題
心療内科やセラピストのカウンセリングは、保険で適用されない場合もあり、費用が患者の大きな負担になることがあります。
チャットボットが行うアプリであれば、もっと安価にカウンセリングが受けられるので、金銭的な負担が減るでしょう。
通院せずに、チャットボットでセラピーが受けられるのは、すべてをデジタルで行うミレ二アル世代には特に魅力的でしょう。
また、セラピストにプライベートな話を打ち明けることを躊躇して、なかなか心療内科へ行けない人もいるでしょう。
相手が “ロボット” であれば、少しはオープンに話せるかもしれません。
今日現在、同アプリは Facebook のメッセージャー上のみで提供されており、同アプリで行われるカウンセリングの個人情報はすべてFacebookが管理しています。
プライバシーを問題視している人も多いため、今後、独立したプラットフォームの開発や、セキュリティとプライバシーへの対策強化が必要となってくるでしょう。
参考サイト:
https://woebot.io/
http://www.businessinsider.com/stanford-therapy-chatbot-depression-anxiety-woebot-2017-6
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E8%A1%8C%E5%8B%95%E7%99%82%E6%B3%95