テレアポ録音データーの分析方法と営業・マーケティングへの活用
2024.02.22
ブログテレマーケティングは、顧客との直接的なコミュニケーションが可能という点で、他のマーケティングチャネルとは一線を画します。しかし、その強みを活かしきれていない企業が少なくありません。なぜなら、多くの企業はテレアポ録音データを単なる通話記録としてしか扱っていないからです。
しかし、テレアポ録音データは顧客の声という宝の山であり、適切に分析することで、以下の4つのメリットを得ることができます。
- 顧客理解の深化 ー 顧客のニーズ、課題、購買行動を深く理解
- マーケティング戦略の強化 ー 顧客ニーズに合致した商品開発、価格設定、プロモーション
- 顧客満足度の向上 ー 顧客一人ひとりに寄り添ったサービス提供
- 売上拡大 ー 顧客の購買意欲を高め、新たな顧客を獲得
本コラムでは、テレアポ録音データの分析方法とマーケティングへの活用方法について解説します。眠れる宝の山を掘り起こし、貴社のビジネスを成長に導きましょう!
PDCAサイクルによる営業力改善
テレマーケティングは、多くの企業にとって重要な顧客獲得・育成チャネルです。しかし、電話対応は属人的な要素が強く、担当者によって成果に差が出やすいという課題もあります。そこで、テレアポの録音データを活用したPDCAサイクルを導入することで、営業全体の質を向上させることができます。
※PDCAサイクルとは、計画(Plan)、実行(Do)、確認(Check)、改善(Act)の4つのステップを繰り返し、継続的な改善を促進することです。
■ 計画(Plan)
- 全通話を録音し、顧客情報、商談内容、成果などの項目で整理する。
- 成約率の高い/低い通話の共通点、顧客の反応、オペレーターの商品説明・対応などを分析する。
- 分析結果に基づき、商品説明の改善、顧客対応マニュアルの作成、個別指導・研修の実施などの具体的な改善策を策定する。
■ 実行(Do)
- 策定した改善策を実行する。
- 説明書を改善し、顧客対応マニュアルを作成する。
- オペレーターに対して個別指導・研修を実施する。
■ 確認(Check)
- 改善策を実行後の成約率を測定する。
- 顧客満足度を調査する。
- オペレーターの商品説明・対応スキルを評価する。
■ 改善(Act)
- 測定結果に基づき、改善策の効果を検証する。
- 効果が不十分な場合は、再度分析・改善策の策定を行い、PDCAサイクルを回す。
- 効果があった改善策は標準化し、全オペレーターに展開する。
マーケティングフレームワークによる効率的な分析
テレアポの録音データを分析する際に、マーケティングフレームワークを活用することで、より効果的な分析と施策実行が可能になります。以下、代表的なフレームワークと、それぞれの利点と注意点をご紹介します。
4P分析
4P分析は、マーケティング戦略を立案・実行・評価するために用いられるフレームワークです。4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の頭文字を取ったもので、これらの要素を分析することで、顧客ニーズに合致した効果的なマーケティング戦略を構築することができます。
録音データを4P分析の観点から分析することで、以下のような情報を得ることができます。
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Product(製品)
■ 顧客がどのような製品やサービスに関心を持っているのか
- 具体的な製品名やサービス内容
- 製品やサービスの機能や性能に関する質問
- 製品やサービスの用途に関する質問
■ 顧客が製品やサービスに求めている機能や性能は何か
- 製品やサービスの改善点に関する提案
- 競合製品やサービスとの比較
- 理想的な製品やサービスのイメージ
■ 顧客が製品やサービスに対して抱えている課題や不満は何か
- 製品やサービスの使用に関する問題点
- 製品やサービスに対する不満やクレーム
- 製品やサービスに対する改善要望
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Price(価格)
■ 顧客が製品やサービスに対してどの程度の価格を支払う意思があるのか
- 価格に関する質問
- 予算に関する情報
- 競合製品やサービスの価格との比較
■ 顧客が価格に対してどのような感度を持っているのか:
- 価格に対する反応
- 値引き交渉
- 価格に対する妥協点
■ 競合製品やサービスの価格と比較して、自社の製品やサービスの価格設定は適切か
- 競合製品やサービスの価格情報
- 自社の製品やサービスの価値
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Place(流通)
■ 顧客がどのようなチャネルで製品やサービスを購入したいと思っているのか
- 購入場所に関する質問
- 過去の購入経験
- 希望する購入チャネル
■ 顧客が製品やサービスを購入するまでのプロセスはどのようなものなのか
- 情報収集方法
- 購入検討の過程
- 購入決定の要因
■ 顧客が製品やサービスを購入する際にどのような障壁を感じているのか
- 購入に関する不安や疑問
- 購入手続きの煩雑さ
- 配送や返品に関する問題
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Promotion(プロモーション)
■ 顧客がどのような広告や宣伝に影響を受けやすいのか:
- よく目にする広告や宣伝
- 印象に残っている広告や宣伝
- 信頼できる情報源
■ 顧客がどのような情報収集方法を好むのか:
- インターネット、口コミ、店頭での情報収集など
- 情報収集の目的
- 情報収集に費やす時間
■ 顧客がどのようなインセンティブに反応しやすいのか:
- 割引クーポン、ポイント、特典など
- インセンティブに対する期待値
- インセンティブの効果
これらの内容を分析するには、単に録音データを聞き取るだけでなく、以下のような方法も有効です。
- キーワード分析:顧客がどのような言葉を使っているのかを分析
- 感情分析:顧客がどのような感情を抱いているのかを分析
- 音声分析:顧客の声のトーンや話す速度などを分析
これらの分析結果を組み合わせることで、より詳細な4P分析が可能になります。
RFM分析
RFM分析は、顧客の購買行動を分析するためのフレームワークです。RFMとは、Recency(購入時期)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の頭文字を取ったもので、これらの指標を分析することで、顧客を以下の3つのカテゴリーに分類することができます。
- 優良顧客:最近購入頻度が高く、購入金額も大きい顧客
- 中堅顧客:購入頻度や購入金額が平均的な顧客
- 休眠顧客:最近購入していない顧客
テレアポ録音データとRFM分析
テレアポ録音データは、顧客との会話内容を記録したものです。このデータをRFM分析の観点から分析することで、以下のような情報を得ることができます。
Recency(購入時期)
- 顧客が最後に購入したのはいつなのか
- 顧客が定期的に購入する商品やサービスはあるのか
- 顧客の購入頻度に影響を与える要因は何か
Frequency(購入頻度)
- 顧客がどのくらいの頻度で商品やサービスを購入しているのか
- 顧客の購入頻度を高めるにはどうすればよいのか
- 顧客の購入頻度に影響を与える要因は何か
Monetary(購入金額)
- 顧客が平均的にどのくらいの金額を購入しているのか
- 顧客の購入金額を高めるにはどうすればよいのか
- 顧客の購入金額に影響を与える要因は何か
■ テレアポ録音データ分析の活用方法
RFM分析で得られた情報は、以下のようなマーケティング活動に活用することができます。
- 顧客ターゲティング: RFM分析に基づいて、優良顧客、中堅顧客、休眠顧客それぞれに合わせたマーケティング施策を実施
- パーソナライゼーション: 顧客の購入履歴や購買行動に基づいて、個々の顧客に合わせた商品やサービスを提案
- キャンペーンの最適化: 顧客の購買データに基づいて、効果的なキャンペーンを企画・実行
SWOT分析
SWOT分析とは、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析するためのフレームワークです。これらの要素を分析することで、自社の現状を把握し、競争優位性を確立するための戦略を立案することができます。
テレアポ録音データとSWOT分析
SWOT分析を活用することで、この宝庫から以下の5つの重要な情報を掘り起こし、戦略構築に役立てることができます。
- 強み: 顧客から評価されている商品・サービスの強み、競合との差別化ポイント、顧客満足度の高い要素
- 弱み: 顧客からの改善点、競合との比較における劣後点、顧客満足度を下げている要素
- 機会: 顧客ニーズの変化、市場における新たなビジネスチャンス、競合の弱み
- 脅威: 新規参入企業の出現、経済環境の変化、技術革新
- 課題: 具体的な課題と解決策の提案
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分析の実践
1. 強み
■ 顧客の声から評価ポイントを探る
- 具体的な商品・サービス名や機能、対応内容などを聞き取り、顧客がどのような点に価値を感じているのかを分析します。
- 顧客が「良い」「助かった」「満足」などのポジティブな表現を用いた箇所を重点的に分析します。
- 複数顧客からの共通点や類似表現を分析することで、普遍的な強みを発見できます。
■ 競合との差別化ポイントを探る
- 競合他社と比較して自社が優れている点や独自性のある点を分析します。
- 顧客が競合他社と比較して自社を選ぶ理由を聞き取り、強みの根拠を明確にします。
- 競合との比較において、顧客が自社に期待している役割や価値を探ります。
■ 顧客満足度を高めている要素を特定する
- 顧客満足度調査結果や顧客アンケートなどを参考に、顧客が満足している要素を分析します。
- 顧客満足度と売上などの指標の関係性を分析し、強みの定量化を行います。
- 顧客満足度を高めている要素を維持・強化するための施策を検討します。
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2. 弱み
■ 顧客からの改善点・不満点を分析する
- 商品・サービスの機能、価格、対応、アフターサービスなど、顧客からの具体的な改善点や不満点を聞き取り、弱みの詳細を把握します。
- 顧客が「悪い」「不満」「改善してほしい」などのネガティブな表現を用いた箇所を重点的に分析します。
- 複数顧客からの共通点や類似表現を分析することで、普遍的な弱みを発見できます。
■ 競合との比較における劣後点を分析する
- 競合他社と比較して自社が劣っている点や改善が必要な点を分析します。
- 顧客が競合他社を高く評価する理由を聞き取り、弱みの原因を明確にします。
- 顧客が自社に求めている機能やサービスを分析し、不足している要素を特定します。
■ 顧客満足度を下げている要素を特定する
- 顧客満足度調査結果や顧客アンケートなどを参考に、顧客満足度を下げている要素を分析します。
- 顧客満足度と離脱率などの指標の関係性を分析し、弱みの定量化を行います。
- 顧客満足度を下げている要素を改善するための施策を検討します。
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3. 機会
■ 顧客ニーズの変化を捉える
- 顧客との会話から、潜在的なニーズや変化を察知し、新たなビジネスチャンスを探ります。
- 顧客が抱えている課題や解決したい問題を聞き取り、ニーズの掘り下げを行います。
- 顧客のライフスタイルや価値観の変化を分析し、ニーズの変化に対応します。
■ 市場における新たなビジネスチャンスを見出す
- 市場調査や業界動向分析などを参考に、新たな市場やビジネスチャンスを探します。
- テクノロジーの進歩や社会環境の変化が市場に与える影響を分析します。
- 自社の強みと市場のニーズを組み合わせた、独自のビジネスモデルを検討します。
■ 競合の弱みを攻める戦略を検討する
- 競合の弱みを分析し、自社がどのように差別化していくかを検討します。
- 競合の弱みに対応する
まとめ
テレアポ録音データは、顧客の声を直接聞くことができる貴重な資産です。しかし、その資産を有効に活用するためには、適切な分析方法と活用方法が必要です。本コラムでは、テレアポ録音データの分析方法として、PDCAサイクル、4P分析、RFM分析、SWOT分析のといったフレームワークを紹介しました。これらのフレームワークを使って、顧客理解の深化、マーケティング戦略の強化、顧客満足度の向上、売上拡大というメリットを実現しましょう。