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Google 「Cloud AutoML」とは?

2018.02.23

トレンド情報

リアルタイムデータウエアハウスプロバイダーのMemSQL とIT関連の出版で知られる オライリーメディアがチームアップし、企業のAI (人口知能) やML(機械学習)の適用について調査を行ったところ、AIとMLは、多くの企業のトッププライオリティであることがわかりました。(2018年2月発表)

1600人以上の回答者中88パーセントは、既にAIを導入している、もしくは導入予定をしていると答えています。

そして、今後AI導入を予定していると回答した人たちのうち95パーセントもの人が、AIの導入は業務の補足となると信じており、彼らの役割を楽にするだろうと答えています。

しかし、この需要とは半比例して、現在AI分野の専門家は世界的に不足しており、即戦力となる人材が需要に追いついていない状況です。

このような市場の背景から、AI開発に向けて限られたリソースを利用できるのは、世界でもほんの一部の企業のみです。
ML (機械学習)やAI開発の知識を持つエンジニアを抱えている企業でも、個々の機械学習モデルを構築するのには相当な時間 = コストがかかるため、企業の大きな負担になってしまいます。

これに目をつけた米国Google社は、2018年1月、機械学習の知識がないシステム開発者でも、簡単に機械学習をシステムに導入できるAI開発ツール 「Cloud Auto ML」 をリリースしました。
AIを少しでも簡単に多くのビジネス、研究者、そして開発者たちが利用できるようにすることが、同システムを開発しているGoogle クラウド AI チームの目標です。

今回同社がリリースしたのは、画像認識システムをカスタマイズできるツール「Auto ML Vision」 です。
ここでは、今回リリースされた Auto ML Vision について詳細をご紹介いたします。

AutoML Visionの仕組みについて

Google社が開発した Auto ML の第一弾 – Auto ML Visionは、AIを使った画像認識システムです。
同システムを利用すれば、画像認識できる機械学習の作成をもっと早く簡単にカスタマイズすることが可能になります。

インターフェイスはドロップ&ドラッグを採用しているため、大変ユーザーフレンドリーです。
画像をアップロードしたら、学習モデルを訓練し、これらのモデルを直接 Google クラウドへ展開します。

Cloud AutoML Vision は、Googleの最先端のシステムである 「Transfer Learning」 や 「Neural Architecture Search Technologies」 上にて構築されており、精度に期待できます。
そのうえ、シンプルなモデルの実験的なアプリケーションであれば数分で、完全なプロダクトでも最短1日あれば構築できるため、自社で開発するよりも大変効率的です。

導入方法や価格は?

既に、Auto MLシステムを導入済みの企業に米国のディズニー社があります。
ディズニーでは、同システムの機械学習によって、同社オンラインストア内での検索をこれまでよりも効果的に行えるようになりました。

現在のところ、Google Auto MLの利用を希望する開発者は、同社へ直接申し込みする必要があります。
気になる価格ですが、今のところ詳細は発表されていません。
しかし、今後Google社が同システムの開発を行った理由 ~ 少しでも多くの開発者が利用できるシステム ~ を考えると、小規模の企業にも負担にならない価格帯である必要があるでしょう。

AIとML – 今後の普及

Google社は、今後、AutoML Visionをはじめ、ほかの分野のAIにも対応したサービスをリリースする予定です。
導入にかかるコスト面から遅れを取っている中小企業が、コストをおさえながら最新のAIやMLを導入するのに、Google社の Cloud AutoMLシステムは最適なツールになるでしょう。

2017年、ロシアのプーチン大統領は講演会にて 「AI市場をリードする国が世界制覇するだろう」 と発言しています。
中国は、政府がIT企業をバックアップし、国をあげてAI市場に力を入れています。
そして次々に米国のAI関連企業を買収することで、AI専門の高い技術を持つ開発者たちを確保しています。
また、現在13億7,000万人を超えた世界一の人口から、米国よりもはるかに大きなデータも持っています。

中国にAI リーダーの座を取られないためにも、AIの普及をスピードアップさせ、性能の向上に努めていくことが、現在米国のIT企業がフォーカスすべき課題です。
独自の強み、そして特徴を持った Google、Microsoft、そしてAmazonの3社すべてが、AI市場に本格的に進出し始めました。
これらのAI先進企業が提供するサービスによって、今後、中小企業のAIやMLの導入が一気に加速していくことに期待しましょう。

参考サイト:

https://www.blog.google/topics/google-cloud/cloud-automl-making-ai-accessible-every-business/
https://techcrunch.com/2018/01/17/googles-automl-lets-you-train-custom-machine-learning-models-without-having-to-code/
https://www.forbes.com/sites/moorinsights/2018/01/17/google-microsoft-and-amazon-place-bets-on-ai-in-the-enterprise/