COLUMN

コラム

お問い合わせ
資料請求

column

コラム

2030年に中国のAI技術が世界を制覇?

2017.12.28

トレンド情報

弁護士や医者のような職業は、近い将来AIに奪われてしまうというニュースは最近よく耳にします。

実際、既に医療業界で活躍しているダヴィンチは、医者の手術のアシストを行うロボットです。

また、既にリーガルアドバイスを提供するチャットボットも誕生しています。

日々メディアでは、新しいAIニュースが報道されており、AIが人間の能力を超えるとされている“シンギュラリティ”に刻々と近づいています。

AIの技術が進むにつれて、ホワイトカラーの職業が脅かされていると考える専門家が多いなか、中国では少し事情が変わってきています。

中国は、AIこそが経済発展に欠かせない次世代のテクノロジー革命と考えており、2020年までに先進国に追いつき、2030年にはAIで世界をリードすると発表しました。

ロシアのプーチン大統領は今年、学生に向けた講演で“AIの分野にてリードする国が世界を支配するだろう”と述べています。
中国が宣言どおりマイルストーンを達成し、プーチン大統領の推測が言葉どおりになった場合、中国が世界のリーダーになる可能性も出てきました。

近年、中国の研究者たちが申請したAI関連の特許出願数は、200パーセント近く上昇しています。
今日現在、米国の特許出願数がリードしていますが、近い将来立場は逆転するかもしれません。
ディープラーニングに関するジャーナルの発行に関しては、既に中国は米国を追い抜いています。

中国の最大検索エンジンサイトの百度(バイドゥ)や、中国最大のショッピングサイトでジャック・マー率いるアリババ集団は、中国を本拠地としています。

中国政府は、百度(バイドゥ)やアリババ集団など先進企業のAI開発を支援しており、2030年の目標に向けて本格的に動き始めました。

政府と企業のタイアップ政策は、中国のAI開発を大きく加速させる可能性を持っています。

中国が米国を抑えてAIの分野において世界をリードできるのか、今世界中が注目しています。

中国のAI技術が世界でトップになれる2つの要素とは?

AIエキスパートの育成強化

現在中国ではAI分野の教育に大きな力を入れており、多くの大学では、AIのためのプログラムを開設しています。
今日現在のところ、中国のAIエキスパートの数は米国には及びません。

実際、AI育成が遅れている中国では、AIの専門家が足りない事態となっており、近年優れた人材確保に向けて、米国シリコンバレーに進出する企業が増えてきました。

2011年のオープンに続き、2017年10月には、百度(バイドゥ)がシリコンバレーに2件目のR&Dセンターをオープンすることを発表しました。

また、中国はAI関連の米国企業を買収することでも、人材の確保に努めています。

米国は中国が米国企業を買収することで、米国のAI技術が中国に流出することを懸念しており、AI関連における中国の投資に規制をかけるという法案も出ています。

しかし現在IT企業にとってAIは必要不可欠な分野であるため、実際にどこまでの制限ができるのかは確かではありません。

人口に反映した莫大なデータ量

AI開発において、データは必要不可欠です。
データ量はあればあるほど、AIの性能が上がります。

現在中国の人口は、13億人を超えており、このうち7億3000万人がネットユーザーです。
7億人以上によって支えられている途方もなく莫大なデータは、AI開発において中国をどこの国よりも優位に立たせます。

アリババ集団、バイドゥ、WeChat、トリニティなど中国大手IT企業が、米国の4倍以上となる人口から日々収集しているデータを米国が超えることはできません。
この事実は、米国のAI開発において大きなネックとなるでしょう。

おわりに

これまで米国は、マイクロソフト、アマゾン、グーグル、IBM社など世界的なIT企業のおかげもあり、AI研究を早い段階からスタートさせました。

結果、AIの研究においては常に世界をリードしてきました。

しかし、中国が一丸となり野心的にAI開発を進めるなか、ドナルド・トランプ大統領率いる米国は、予算を増やすどころかAIの研究と開発費を10パーセントもカットしました。

なんらかの政策を打ち出さなければ、数年以内に中国が米国のAI技術に肩を並べ、近い将来、本当に世界制覇を実現させるかもしれません。

参考サイト:
https://www.economist.com/news/business/21725018-its-deep-pool-data-may-let-it-lead-artificial-intelligence-china-may-match-or-beat-america

https://www.technologyreview.com/the-download/609791/china-has-a-new-three-year-plan-to-rule-ai/

https://www.forbes.com/sites/gilpress/2017/11/05/6-reasons-why-china-will-lead-in-ai/#fdf0c9b63483

https://www.wired.com/story/for-superpowers-artificial-intelligence-fuels-new-global-arms-race/

http://www.bbc.com/news/technology-42153692