コールセンターの顧客満足度とは
2023.08.29
ブログコールセンターの顧客満足度とは、コールセンターに問い合わせた顧客が、オペレーターの対応やサービスに対してどれだけ満足しているかを表す指標です。コールセンターの顧客満足度は、企業やブランドのイメージや評価に大きな影響を与えます。コールセンターでネガティブな顧客体験をさせてしまうと、顧客の離反や口コミの悪影響などが起こり得ます。逆に、ポジティブな顧客体験を提供できれば、顧客のロイヤリティや推奨などが高まります。
コールセンターの顧客満足度を測る方法
コールセンターの顧客満足度を測る方法には、主に以下の3つがあります
CS(Customer Satisfaction)
製品やサービスに対して顧客が満足している度合いを表す指標です。コールセンターでは、問い合わせ後に顧客満足度調査などのアンケートやヒアリングで顧客に評価してもらいます。一般的には5段階や10段階で評価させることが多く、平均値や分布などで分析します。
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CX(Customer Experience)
製品やサービスを利用する中で得られる感動や喜びなど、顧客が感じた心理的な価値を指します。コールセンターでは、オペレーターの態度や電話のつながりやすさ、問題解決までのスピードなど、CSに至るまでの「プロセス」を主観的に評価したものです。CXはCSよりも感情的な要素が強く、顧客ロイヤリティに大きく影響します。
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NPS(Net Promoter Score)
顧客ロイヤリティを表す指標であり、顧客が製品やサービスを知人に薦める可能性を数値化したものです。コールセンターでは、問い合わせ後に「この企業の製品やサービスを友人や同僚に薦める可能性は何点ですか?」という質問に11段階で回答してもらいます。その後、回答者を「推奨者」「中立者」「批判者」に分けて、NPS(%)=推奨者(%)-批判者(%)という式で算出します。
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これらの指標はそれぞれ異なる視点から顧客満足度を測ることができます。CSは「結果」に注目し、CXは「プロセス」に注目し、NPSは「将来性」に注目すると言えます。これらの指標を総合的に分析することで、より正確な顧客満足度を把握することができます。
適切なKPIの設定と運用
顧客満足度を数値化して計る方法は上で解説しましたが、その目標を達成するためには適切なKPIを設定する必要があります。KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、重要業績評価指標のことです。(対して上の目標自体の数値はKGI=目標達成指と呼びます。)コールセンターにおいては、顧客満足度を上げるためのKPIとして、以下のようなものが挙げられます。
応答率:着信からオペレーターによる応答までの時間を示す指標です。応答率が高いほど、顧客がコールセンターに電話をかけてからすぐに担当者につながるため、顧客満足度が高まると考えられます。
放棄呼率:着信後にオペレータによる応答がなく、顧客が電話を切ってしまう割合を示す指標です。放棄呼率が低いほど、顧客がコールセンターに電話をかけても待たされることなく、スムーズに応対を受けられるため、顧客満足度が高まると考えられます。
平均応答時間:着信からオペレーターによる応答までの時間を示す指標です。平均応答時間が短いほど、顧客がコールセンターに電話をかけてからすぐに担当者につながるため、顧客満足度が高まると考えられます。
平均通話時間:オペレータと顧客の間の通話時間を示す指標です。平均通話時間が短いほど、顧客がコールセンターに電話をかけても長時間待たされることなく、迅速な対応を受けられるため、顧客満足度が高まると考えられます。
顧客満足度:顧客がコールセンターの対応にどの程度満足しているかを示す指標です。顧客満足度が高いほど、顧客がコールセンターの対応に満足していることを意味するため、顧客ロイヤリティの向上につながります。
これらのKPIを設定する場合、以下のポイントに注意する必要があります。
自社の業務や目的に合わせたKPIを選択する
コールセンターの業務内容や目的は、企業によって異なります。そのため、自社の業務や目的に適したKPIを選択することが重要です。
たとえば、顧客のクレーム対応を主な業務としているコールセンターでは、応答率や放棄呼率などのKPIを重視する必要があるでしょう。一方、商品やサービスの問い合わせ対応を主な業務としているコールセンターでは、平均応答時間や平均通話時間などのKPIを重視する必要があるでしょう。
現実的に達成可能な目標を設定する
KPIの目標は、現実的に達成可能な範囲で設定する必要があります。目標が達成不可能な場合、モチベーションの低下や業務の混乱につながる可能性があります。
KPIは定期的にモニタリングし、改善する
KPIを設定したら、定期的にモニタリングして、目標の達成状況を確認する必要があります。目標と実績に差がある場合は、その原因を分析して、改善策を講じるようにしましょう。
コールセンターの顧客満足度を向上させる方法
コールセンターの顧客満足度を向上させる方法としては、以下のようなものがあります。
- オペレーターの育成
オペレーターのスキルやマナー、知識などを向上させることで、顧客に対して迅速で正確で丁寧な対応ができるようになります。オペレーターの育成には、研修やモニタリング、フィードバックなどが有効です。また、オペレーターのモチベーションや意識も重要です。顧客満足度の向上がコールセンターの目標であることを共有し、評価や報奨などでオペレーターを支援しましょう。
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- アクセス環境の整備
顧客がコールセンターに問い合わせる際に、電話がすぐにつながるかどうかは顧客満足度に大きく影響します。電話がつながらないと、顧客は不満や不信感を抱きます。そのため、アクセス環境を整備することが必要です。アクセス環境の整備には、人員やシフトの管理、電話回線や機器の増強、自動応答や自動着信分配などのシステム導入などがあります。
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- 顧客向けFAQの整備
顧客向けFAQとは、よくある問い合わせや回答をまとめたウェブサイトやアプリなどのことです。顧客向けFAQを整備することで、顧客は自分で問題を解決できるようになります。これは、顧客満足度だけでなく、コールセンターの負荷軽減にもつながります。顧客向けFAQを整備する際には、顧客のニーズや嗜好に合わせて内容やデザインを工夫しましょう。
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- コールセンターシステムの活用
コールセンターシステムとは、コールセンターの業務を効率化するためのシステムです。コールセンターシステムを活用することで、オペレーターの対応品質や生産性を向上させることができます。コールセンターシステムには、以下のような機能があります。
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・ 音声認識・音声合成
音声認識機能は、顧客の発話内容をテキスト化することで、オペレーターが聞き取りやすくします。音声合成機能は、テキストから音声を生成することで、オペレーターが話しやすくします。
- 音声分析・感情分析
音声分析機能は、音声の周波数や大きさなどから話者の感情や評価を判定することで、オペレーターが対応しやすくします。感情分析機能は、テキストから感情や評価を判定することで、オペレーターが対応しやすくします。
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- AQ検索・ナレッジベース
FAQ検索機能は、顧客からの問い合わせ内容に応じて適切な回答を検索することで、オペレーターが回答しやすくします。ナレッジベース機能は、商品やサービスに関する知識をデータベース化し、オペレーターが参照しやすくします。
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- チャットボット・自動応答
チャットボット機能は、AIが顧客とテキストや音声で会話することで、オペレーターの負担を軽減します。自動応答機能は、音声やテキストで顧客に案内や誘導を行うことで、オペレーターの負担を軽減します。
コールセンターで顧客満足度と従業員満足度を最大化
コールセンターは、企業と顧客とのコミュニケーションの窓口として重要な役割を果たしています。しかし、コールセンターの業務には、多くの課題があります。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客の感情やニーズを正確に把握できない
- オペレーターの応対品質やスキルにばらつきがある
- オペレーターのストレスや離職率が高い
- VOC(Voice of Customer)の分析や活用が十分でない
これらの課題を解決するために、録音解析や感情分析といったAI技術の活用が注目されています。録音解析とは、コールセンターで収集された音声データをテキスト化し、分析することです。感情分析とは、音声やテキストから話者(書き手)の感情を判別することです。
録音解析や感情分析をコールセンターで活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。具体的には、以下のような効果が期待できます。
顧客満足度の向上
顧客の感情に応じて、オペレーターが適切な情報提供や商談の進め方を行えるようになります。例えば、顧客が「高い期待」や「興奮」といったポジティブな感情を示している場合には、オペレーターは積極的に商品やサービスのメリットを伝えたり、クロージングに向けた質問をしたりすることができます。逆に、顧客が「不満」や「ストレス」といったネガティブな感情を示している場合には、オペレーターは顧客の不安や不満を聞き出したり、謝罪や解決策を提案したりすることができます。
また、顧客の感情をリアルタイムで把握することで、オペレーターは顧客とのコミュニケーションを円滑に行うことができます。例えば、顧客が「恥じらい」や「確信が持てない」といった感情を示している場合には、オペレーターは顧客に寄り添った優しい口調で話したり、購入後のサポートや保証などを紹介したりすることができます。これにより、顧客は安心感や信頼感を得ることができ、満足度を高めることができます。
通話後に顧客の感情や満足度を分析し、改善点やベストプラクティスを見つけることができます。これは非常に重要です。ことはとても重要です。なぜなら、以下のようなメリットがあるからです。
自分の応対品質を向上させることができる。
自分の対応と顧客の感情を照らし合わせ、自分の強みや改善点を客観的に把握し、次回の対応に活かすことで、顧客満足度や一次完結率を高めることができます。
コールセンターの業務改善に貢献することができる。
感情解析で良い結果が出た自分の対応経験や知見をチームや組織に共有することで、ベストプラクティスの普及や問題解決の促進につながります。
自分のモチベーションやスキルを高めることができる。
顧客の感情を客観的にデータとしてみて、自分の成長や貢献を実感することで、仕事へのやりがいや自信を持つことができます。
音声データと顧客情報を連携させることで、より高度な分析やパーソナライズが可能になります。
従業員満足度の向上
オペレーターの応対品質やスキルを客観的に評価し、効果的な研修やフィードバックが実施できます 。
オペレーターの感情やストレスレベルを分析し、離職リスクの高いオペレーターを早期に発見し、改善策を打つことができます 。
クレーム対応などの難しい場面では、スーパーバイザーがオペレーターをサポートすることができます 。
以上のように、録音解析や感情分析は、コールセンターの顧客満足度と従業員満足度を最大化するために有効な手段です。しかし、これらの技術を導入する際には、以下のような課題や注意点も考慮する必要があります。
個人情報やプライバシーの保護
音声データは、個人情報やプライバシーに関わる内容を含む可能性があります。そのため、音声データの収集や分析には、顧客の同意や適切なセキュリティ対策が必要です 。
音声データの分析結果は、オペレーターやスーパーバイザーだけでなく、他の部署や外部のパートナーとも共有される可能性があります。その際には、個人情報やプライバシーを保護するために、必要最小限の情報に絞るなどの配慮が必要です 。
オペレーターや顧客の受け入れや理解
音声感情分析は、オペレーターや顧客にとって新しい技術です。そのため、音声感情分析の目的や仕組み、メリットやデメリットを十分に説明し、理解や受け入れを得ることが重要です 。
音声感情分析は、オペレーターや顧客の感情を可視化することで、コミュニケーションをサポートするものです。オペレーターや顧客の人間性や個性を尊重し、適切な使い方や活用方法を見つけることが大切です。
まとめ
顧客満足度の向上は、コールセンター運営における永遠のテーマであり、企業が競争力を維持し拡大するための重要な鍵です。CS、CX、NPSといった多様な指標を駆使し、適切なKPIの設定と綿密な運用を通じて、顧客体験の質を高めることは、企業の成長戦略において不可欠な要素となっています。オペレーターの育成から技術の導入まで、多角的なアプローチを持続的に追求することで、顧客と企業双方にとって価値ある結果を生み出すことができます。最終的には、コールセンターが顧客の期待を超えるサービスを提供することで、企業の信頼と評価を高め、長期的な顧客関係を築くことが可能になります。この一連の取り組みは、顧客満足度の向上だけでなく、従業員の満足度とモチベーションの向上にも繋がり、結果として企業の持続可能な成長へと貢献します。