コールセンターで品質を維持しながらコスト削減
2023.08.29
ブログコールセンターは、企業と顧客との重要な接点となる場所です。顧客満足度や企業イメージを高めるためには、コールセンターでの品質を高く保つことが必要です。しかし、品質を高く保つことは、人件費や設備費などのコスト増にもつながります。コスト削減と品質維持は相反する目標のように見えますが、実は両立することが可能です。このコラムでは、コールセンターでの品質を維持しながらの人件費削減について、具体的な方法や事例を紹介します。
コールセンターの品質とは何か
まず、コールセンターの品質とは何かを考えてみましょう。一般的に、コールセンターの品質は以下の4つに分類されます。
- 処理品質:オペレーターの業務処理能力の高さ
- 応対品質:オペレーターのお客様応対の質
- 接続品質:電話のつながりやすさ
- 運営品質:コールセンターとしての役割が全うできているか
これらの品質は、お客様視点から見た「クオリティ」と企業視点から見た「パフォーマンス」に分けることができます。
- クオリティ:応対品質+接続品質
- パフォーマンス:処理品質+運営品質
クオリティは、お客様がコールセンターに対して期待するサービスレベルを表します。応対品質はオペレーターの声色や言葉遣い、情報提供などが評価されます。接続品質は電話がすぐにつながるかどうかや待ち時間が長くないかなどが評価されます。クオリティが高ければ高いほど、お客様満足度やリピート率、口コミ効果などが向上します。
パフォーマンスは、コールセンターが効率的に業務を行っているかを表します。処理品質はオペレーターの通話時間や後処理時間、ミス率などが評価されます。運営品質はオペレーターの稼働率や離職率、教育体制などが評価されます。パフォーマンスが高ければ高いほど、コスト削減や生産性向上などが実現します。
品質を維持しながらコスト削減する方法
まず、品質を維持しながら人件費を削減するためには、以下の3つのポイントが重要です。
- 問い合わせ件数の削減
- オペレーターの生産性の向上
- オペレーターの離職防止対策
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
問い合わせ件数の削減
問い合わせ件数が削減できれば、オペレーターの数やブース数を減らすことができます。これにより、人件費や設備費などのコストを抑えることができます。問い合わせ件数を削減する方法としては、以下のようなものがあります。
- WebサイトやアプリなどにFAQ(よくある質問)やチャットボットなどを設置し、顧客自身で問題解決できるようにする
- 問い合わせ方法を標準化し、電話ではなくメールやチャットなどの非音声チャネルを推奨する
- 問い合わせ時間帯や曜日を限定し、ピーク時以外は自動応答システムや留守番電話などを活用する
これらの方法は、顧客から見れば問い合わせへのハードルが上がることもあります。そのため、応対品質や顧客満足度の低下に注意しながら、バランスを見極めることが重要です。
また、チャネルを増やすときはその費用の見積もりを早めに行っておきましょう。
オペレーターの生産性の向上
オペレーターの生産性を向上させて、一人当たりの対応件数を増やせば人件費は抑えられます。生産性向上・業務効率化はコールセンターの現状を客観的なデータで捉え、的確に課題対策をすることがポイントです。生産性と一括りに言っても、通話時間が長いのか、後処理時間が複雑で時間・手間がかかっているのか、など原因によって対策方法は異なります。まずは、以下のような生産性指標を用いてセンターの現状と問題点を把握することから始めましょう。
- AHT(Average Handling Time、平均処理時間):1コールあたりの通話時間と後処理時間の合計
- ATT(Average Talk Time、平均通話時間):1コールあたりの通話時間
- ACW(After Call Work、後処理時間):1コールあたりの通話終了後に発生する作業時間
- 応答率:入電に対してオペレーターが応答した割合
- 稼働率:オペレーターが応答可能な状態でいた割合
これらの指標を継続的に測定し、トレンドを確認することで、改善の方向性や効果を見極めることができます。また、自社の特性にあった目標値や基準値を設定することも重要です。
オペレーターの離職防止対策
コールセンターは一般的に離職率の高い職場と言われています。離職率が高い状態が続けば新たな採用や教育にコストがかかりますし、穴を埋めなければならない他のオペレーターの更なる離職を招きかねません。離職率防止対策はセンター管理者の必須業務と言えるでしょう。また、離職率防止で離職率を低くできれば、コスト削減以外にも応対品質の安定化や向上などの効果が期待できます。具体的な対策方法としては以下の通りです。
- 細やかな研修やトレーニングの実施
- 先輩やトレーナーなどサポート体制の充実
- 適切な評価やフィードバックの実施
- 短時間勤務やフレックスなど、柔軟な働き方の許容
オペレーターのストレスや疲労の軽減は早めの対策が重要です。センター管理者は日ごろからオペレーターの状態に気を配り、様子が普段と違うようであれば声をかけるなどの細やかなフォローをするようにしましょう。
以上、コールセンターでの品質を維持しながらの人件費削減について、具体的な方法や事例を紹介しました。しかし、これらの方法だけでは限界があります。コールセンター業務は非常に多様化しており、一つ一つに専門性が求められる場合もあります。そのような場合は、アウトソーシングを検討する価値があります。
アウトソーシング(代行会社・外注)による経費削減
アウトソーシングとは、自社では行わない業務を外部に委託することです。コールセンター業務をアウトソーシングするメリットとしては、以下のようなものがあります。
- コールセンター専門企業に委託することで、高い品質とスピードで対応できる
- 自社では採用や教育が困難な優秀なオペレーターを活用できる
- 業務量や内容に応じて柔軟にスケールアップやダウンができる
- コールセンターの設備や運営にかかるコストを削減できる
コールセンターでの品質を維持しながらの人件費削減は、自社で行う方法だけではなく、アウトソーシングを検討する価値もあります。アウトソーシングは、コスト削減だけでなく、品質向上や業務効率化などのメリットもあります。しかし、アウトソーシングには種類や契約内容によって大きいメリットと注意しなければいけないことが共にあります。自社のニーズに合った最適なパートナーを見つけることが成功のカギとなります。
アウトソーシングにかかる費用
コールセンターのアウトソーシングにかかる費用は、大きく分けて「初期費用」と「月額費用」の2つがあります。
初期費用は、コールセンターの立ち上げにかかる費用です。主な内容は、以下のとおりです。
・業務内容のヒアリング・分析
・システム・ツールの選定・導入
・オペレーターの採用・教育
月額費用は、コールセンターの運用にかかる費用です。主な内容は、以下のとおりです。
・オペレーターの人件費
・システム・ツールの利用料
・施設の利用料
また、コールセンター業務には、以下のオプション費用が発生する場合があります。
データ分析・レポート作成
クレーム対応
キャンペーン対応
コールセンターのアウトソーシングと経費削減
コールセンターは、企業と顧客の重要な接点の一つです。しかし、自社でコールセンターを運営する場合には、人材や設備の確保、教育や管理などに多くのコストがかかります。そこで、コールセンターの業務を外部に委託することで、経費削減や品質向上などのメリットが得られるという考え方があります。この記事では、コールセンターのアウトソーシングと経費削減について解説します。
コールセンターのアウトソーシング(外部委託)とは
コールセンターのアウトソーシングとは、自社で行っていたコールセンターの業務を、専門的なサービスを提供する外部の企業に委託することです。コールセンターの業務には、インバウンド業務とアウトバウンド業務の2種類があります。
- インバウンド業務:顧客からの電話を受ける業務で、問い合わせやクレーム対応、商品やサービスの申し込みなどがあります。
- アウトバウンド業務:企業から顧客に電話をかける業務で、テレマーケティングや市場調査、未納料金の催促などがあります。
コールセンターのアウトソーシングでは、これらの業務を全部または一部外部に委託することができます。委託先の企業は、オペレーターやスーパーバイザーなどの人材や、電話やコンピューターなどの設備を保有しており、高品質なサービスを提供します。
コールセンターのアウトソーシングで経費削減が可能な理由
コールセンターのアウトソーシングで経費削減が可能な理由は、主に以下の3点です。
- 設備投資のコスト削減
- 人材採用や教育の負荷軽減
- 業務効率化
設備投資のコスト削減
コールセンターのアウトソーシングには、多くのメリットがありますが、その中でも特に大きなものが 設備投資のコスト削減 です。
コールセンターを自社で運営する場合、オペレーターの人件費や採用・教育費はもちろん、パソコンや電話機、ヘッドセット、ネット回線などの通信設備や、電話とコンピューターを連動させるCTI(Computer Telephony Integration)システムなどの高度な設備を導入する必要があります。これらの設備投資には初期費用だけでなく、メンテナンスや更新も必要になります。
一方、コールセンターをアウトソーシングする場合、これらの設備投資はアウトソーシング先が負担してくれます。アウトソーシング先は、最新の設備やシステムを常に用意していることが多く、品質やセキュリティも高いレベルで期待できます。また、アウトソーシング先は、業務量や時間帯に応じて柔軟に対応してくれるため、無駄なコストを削減できます。
人材採用や教育の負荷軽減
自社でコールセンターを運営する場合には、オペレーターやスーパーバイザーなどの人材を採用し、教育や管理を行わなければなりません。これには、人件費や教育費、勤怠管理や評価制度などにもコストがかかります。また、コールセンターの業務は過酷であることから、離職率が高くなりがちです。そのため、常に人材の確保や育成に労力が必要です。
しかし、外部に委託すれば、これらの負荷を軽減することができます。委託先の企業は、専門的なスキルや知識を持った人材を保有しており、定期的な研修や評価を行っています。また、業務の難易度や時間帯、必要な人員数などに応じて柔軟に対応できます。
業務効率化
自社でコールセンターを運営する場合には、業務量や品質に応じて人員や設備を調整する必要があります。しかし、需要の変動が激しい場合や緊急時に対応することは困難です。また、自社のコア業務に集中できないというデメリットもあります。
しかし、外部に委託すれば、これらの問題を解決することができます。アウトソーシング先は業務量や時間帯に応じて柔軟に対応してくれるため、自社でシフト管理や人員配置を行う必要がなくなります。また、繁忙期や緊急時にも迅速に対応してくれるため、顧客満足度を維持することができます。
コール数の増加・対応件数の増加に対応しやすい
コール数の増加・対応件数の増加に対応しやすい
企業の事業拡大や新規サービス・商品の導入などにより、コールセンターの対応件数が増加することもあります。自社でコールセンターを運営する場合、対応件数の増加に対応するためには、人員の増加やシフトの拡大が必要になります。しかし、アウトソーシングを活用すれば、人員やシフトの増加に伴うコストや労力を抑えることができます。
コールセンターにおけるアウトソーシングの注意点
コールセンターをアウトソーシングにすると、自社で人材や設備の準備をする必要がなくなり、コスト削減や業務効率化が期待できます。しかし、一方でデメリットやリスクもありますので、以下のような点に注意する必要があります。
アウトソーシングする範囲と権限を明確にする
コールセンターの目的や業務内容を明確にし、どこまで外部に委託するかを決めます。例えば、インバウンド業務(顧客からの問い合わせやクレーム対応)とアウトバウンド業務(営業やマーケティングなどの架電)のどちらをアウトソーシングするか、または両方をアウトソーシングするかなどです。また、オペレーターの判断や権限についても契約書に明記します。
情報漏洩のリスク管理を徹底する
コールセンターでは個人情報や機密情報を扱うことが多いため、情報漏洩のリスクが高まります。アウトソーシング先の会社がプライバシーマークやISO27001などの認証を取得しているかどうかを確認し、契約書に情報管理に関する条項を盛り込みます。また、定期的に情報漏洩の有無や対策状況をモニタリングします。
緊急時の対応に備える
コールセンターでは災害やシステム障害などの緊急事態が発生する可能性があります。その場合、自社とアウトソーシング先の会社との連絡体制や対応プロセスを事前に確認し、契約書に記載します。また、緊急時には自社で対応できるようにバックアップ体制を整えます。
質の高い応対ができる会社を選ぶ
コールセンターは顧客と直接コミュニケーションを行う窓口であり、顧客満足度やブランドイメージに大きく影響します。そのため、アウトソーシング先の会社は商品やサービスに関する知識やスキルだけでなく、コミュニケーション能力やマナーも高いレベルで保持している必要があります。見積もりや提案内容だけでなく、実績や信頼性も重視して選びます。
コールセンター業務の変化に対応できる会社を選ぶ
コールセンター業務は、近年、テクノロジーの進化により、大きく変化しています。AIや音声認識・音声合成などの技術を活用した自動応答や、チャットボットなどのチャネルを活用した対応が普及しています。
アウトソーシング先のコールセンターも、これらのテクノロジーを積極的に導入しているかをチェックします。多くのチャネルに対応していれば顧客満足度がアップする可能性も高くなります。
まとめ
コールセンターは、お客様と企業とのコミュニケーションの窓口として重要な役割を果たしています。しかし、コールセンターは人件費や設備費などのコストも高く、経営効率化の観点からも見直しが必要な部署です。品質とコストのバランスを取るには以下の方法が考えられます。
- 問い合わせ件数の削減
- オペレーターの生産性の向上
- オペレーターの離職防止対策
- アウトソーシングによる経費削減
これらの方法は、コスト削減だけでなく、お客様満足度や売上向上にも貢献できる可能性があります。しかし、アウトソーシングについては注意と課題もあります。アウトソーシングを活用する場合は、適切なパートナーを厳選しましょう。