AI導入でコールセンタースタッフの離職率ダウン
2017.09.13
トレンド情報コールセンターには、日々商品やサービスに疑問や不満を持った顧客から多数の電話がかかってきます。
これらの電話に応対するカスタマサービススタッフは、1日中さまざまなクレームに対応し、精神的にかなりストレスフルな環境にいます。
なかには悪質なクレーマーからのものもあり、ハラスメントとも受け取れるような言葉で罵倒されることも少なくありません。
ワンコールごとに気持ちと感情をリセットして顧客対応するのは、想像以上に精神負担となる業務です。
日本特有の “お客様第一主義”は、企業に非がない場合でも、謝り続けることで顧客の怒りやフラストレーションを受け止めますが、これはサポートスタッフ側にも相当なストレスを与えます。
実際、米国のコールセンターコンサルタントで産業心理学Dennis Adsit博士は、コールセンターの離職率は、ほかのどの分野よりも高いと分析しています。
国内最大級の損害保険ジャパン日本興亜では、年間に190万件にものぼる問い合わせに効率よく対応するために、NTTコミュニケーションが提供するコールセンターAIソリューションの導入を開始しました。
同社の狙いは、NTTグループが開発した音声認識エンジン 「VoiceRex」と、AIエンジン「corevo」に実装することによって、サービスの品質と生産性をアップさせることです。
特に「corevo」は人間の意図や感情を理解できるため、高度な対話を実現させます。
コールセンターに人工知能を採用することで業務の効率を図れるのは明らかです。
ここでは、具体的にAIの導入がどのようにサポートスタッフのパフォーマンスを上げ、企業のメリットとなるのかについてフォーカスしていきます。
AIをフロントラインに設置するメリットとは?
サポートスタッフのストレス軽減 = パフォーマンスアップ
ストレスフルな環境では、スタッフが持っているすべての能力を十分に発揮できないかもしれません。
AIをサポートに置くことは、サポートスタッフのストレス軽減につながります。
ストレスレベルと離職率が比例しているのであれば、AIは、サポートスタッフの離職率を低下させるでしょう。
また、ストレスが軽減されれば、サポートスタッフのパフォーマンスも向上するはずです。
離職率が下がると、企業のコストもダウン
コールセンターは離職率が高いことで知られていますが、離職率が高いと新規雇用も増えるため、スーパーバイザーは常に新人トレーニングに時間を費やすことになります。
これはどんな企業にも言えることですが、新人トレーニングは企業にとっての投資であり、入社後すぐに辞められては企業にとってはコストだけが残ります。
さらに、新規雇用のリクルーティングにかかる費用や、ポジションが空いている間に失われてしまう作業などを計算すると大きなコストになります。
カスタマーサービスは長く続けるほどCSエージェントとしても経験と知識も豊かになるため、企業の戦力となり効率的で優れたサービスを提供できます。
一方で、新人のコールハンドルタイムは経験のあるスタッフより長く、さらにエラー率も高くなるため、これも企業にとっては余計なコストとなります。
AIは、離職率を改善することでも、企業のコスト削減に貢献します。
満足度はサポートスタッフから顧客へ伝染 ~企業のROIアップ
イギリスのヴァージングループ創設者でCEOのリチャード・ブランソン氏は、“従業員満足イコール顧客満足” という考えから、まず第一に従業員、顧客はその次だと語っています。
サポートスタッフに働きやすい環境を提供することで、彼らのパフォーマンスが良くなれば、顧客体験(CX)もアップします。
CXが向上すれば、顧客ロイヤリティが生まれ、リピートビジネスを得ることができるでしょう。
つまり、企業はAIをカスタマーサービスに取り入れることで、高いROIも見込めます。
おわりに
企業にとって従業員は大切なリソースです。
カスタマーサービススタッフが満足できる業務環境を提供し、スタッフの満足度をアップさせることは、彼らのパフォーマンスを向上させ、顧客満足へと導きます。
AIをフロントラインに置き、大切な従業員のメンタルヘルスを守ることで、業績アップにもつながるでしょう。
参考サイト:
http://diamond.jp/articles/-/81619
http://www.callcentertimes.com/Home/tabid/37/ctl/NewsArticle/mid/395/CategoryID/1/NewsID/386/Default.aspx
http://www.bizcompass.jp/original/bu-growth-042-9a.html
http://www.theceomagazine.com/business/how-to-surprise-and-delight-your-employees/