2018年より本格的に開始!SNSで行われるいじめ相談
2017.11.21
トレンド情報文部科学省が発表した昨年2016年のいじめ認知件数は、22万4540件で前年度の18万8072件を大きく上回る過去最多となりました。
これは認知件数のため、認知されていないケースを入れれば、実際にはもっと多いかもしれません。
文部科学省は、現在いじめ相談は電話での受付けで対応していますが、2018年度より本格的にソーシャルメディアを利用して、窓口を設けることを発表しました。
一部の自治体では先行して試験導入をしており、既に大きな反響を呼んでいます。
長野県では2017年9月に2週間、LINEでのいじめ相談を試験的に実施したところ、1579件にものぼるアクセスがあり、10人の相談員が対応した結果、合計547件の相談に対応しました。
LINEで2週間に入ったいじめ相談は、前年度1年間に電話であったいじめ相談259件の2倍以上に相当するもので、ソーシャルメディア経由で行ういじめ相談への高い期待がうかがえます。
また、2011年にいじめが原因で中学2年生の自殺者を出してしまった大津市も、LINEを利用したいじめ相談の窓口を開設し、2017年11月1日~2018年3月31日まで実験的に導入する予定です。
いじめ相談におけるチャットの有効性とは
ここでは、チャットで行ういじめ相談の有効性についてご説明いたします。
電話よりもっと気軽に
今の世代の子どもたちは、とにかくデジタル慣れしています。
2016年に内閣府が実施した調査によると、子どもたちのスマートフォンの所有率は、小学生で27パーセント、中学生になると51.7パーセントと半数以上、そして高校生では94.8パーセントとなっています。
最近の子どもは、友人に連絡を取るのも電話ではなく LINEやメールを使ったデジタル経由のメッセージで行っています。
スマートフォンを持っていても、実際に最も使っている機能は携帯機能ではなく、ソーシャルメディアやブラウザーを使ったウェブサイトの閲覧でしょう。
実際、総務省が行った調査によると、10代のソーシャルメディア利用率は1日平均58,9分で、携帯の通話時間 2.7分の21倍以上もLINE や TWITTERなどのSNSで時間を費やしていることがわかりました。
スマートフォンは、電話に利用するよりも、オンライン上で友人たちとつながるための大きなコミュニケーション手段となっています。
子どもたちにとって身近になったコミュニケーションツールを使って、いじめ相談ができる場所を提供すれば、子どもたちが心を開いて話してくれるかもしれません。
電話よりもっと気軽に相談してみようかな?という気持ちにさせるかもしれません。
声ではなく文字の持つ匿名性
電話は声だけでつながるため、顔は見えません。
しかし、チャットの場合、文字だけでつながるため、声よりももっと匿名性があるように感じます。
電話と違い、LINEで行う相談は人に聞かれる心配もありません。
また、相談後にメッセージをすべて削除することも可能です。
知らない相手に相談するのは勇気がいるかもしれませんが、知らない人だからこそ相談しやすいということもあるでしょう。
いじめられている子どもたちは、多くの場合、助けを求めたくてもそれができずに悩んでいます。
子供たちが安心して相談できる場所がチャットであれば、その貴重なプラットフォームを1日も早く立ち上げることで、深刻ないじめになる前に対策を行えるかもしれません。
傍観者の相談を促進
ソーシャルメディアを介して、いじめ相談を受け付ければ、いじめられている子どもたちだけなく、それをそばで見ている傍観者たちを動かすこともできるかもしれません。
自分がいじめられていることを相談できる子どもばかりではないため、いじめを認知している周りの友だちが代わりに助けを求めれば、状況を少しでも改善していけるかもしれません。
LINEによるいじめ相談窓口は、いじめられている子どもたちや、それを知りながら何もできない周りの子どもたちが、前向きな行動を起こすためのきっかけになるのではないでしょうか。
おわりに
今後、全国的にLINEでのいじめ相談が展開されれば、電話では相談されなかった多くのいじめが発覚するかもしれません。
ソーシャルメディアは、いじめに悩んでいる子どもたちにアプローチし、適切なフォローがしやすい効果的なコミュニケーションツールと言えるでしょう。
参考サイト:
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/11/line_a_23240739/
http://www.news24.jp/articles/2017/08/28/07370921.html
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1046970.html